子供の発達障害とは、ASD(自閉症スペクトラム・アスペルガー症候群)、 ADHD(注意欠如多動性障害)、そしてLD(学習障害)の大きく3つに分けられます。いずれも脳機能に関係する障害・特徴です。
ADHD の特性は不注意、衝動性など否定的な印象の強い言葉で表されますが、必ずしも悪い側面だけではありません。
その特性が生活上の支障となった場合には、 ADHD と診断されますが、中には特性が支障にならず、のびのびと生活できている人もいます。
ADHD やアスペルガー症候群の子は、「発達障害」というよりも、「発達の偏り」です。子供の特徴を知り、家族の力で子育てしていきましょう。
発達障害はプラスにもなる、我が子を幸せにする5つの治療アドバイス
ADHD の7つの長所
ADHD の傾向があるからといって、初めから優れた才能があるわけではなく、ましてや天才だったりすることはありません。
本人がそれを意識せず、適切なサポートも受けていない状態では、ただの変わった人、よくて個性的な人と思われるだけでしょう。
持って生まれた ADHD 傾向も、その素質を伸ばすことのできる家族や教師、優れた医師に恵まれたとき、他の誰にも真似できない優れた才能として開花することがあります。
これからお伝えする7つは、 ADHD の人が持つ多動・不注意・衝動性などの傾向が、欠点ではなく長所ともなりうるというお話です。
1.行動的でアグレッシブ
「多動性」は欠点と見なされがちですが、極めてエネルギッシュで活動的、という長所にもなりえます。
2.新しいものに目ざとく物知りである
2つ目の長所は、新奇追求性です。 ADHD の人は、飽きっぽく集中力が長続きしないと言われますが、裏を返せば、新しい魅力的なことをどんどん探し求めるということです。
何に興味を持つかは人それぞれですが、その幅広い知識や経験は情報通として重宝されるかも知れません。
3.積極的なコミュニケーション力
3つ目の長所は、積極的な社交性です。 ADHD の人は多動性、衝動性のためについついしゃべりすぎたり余計なことを言ったりしがちですが、それをうまくコントロールできれば、優れたコミュニケーション能力として発揮されるでしょう。
4.アイデア豊かな創造性
ADHD には、一つのことに集中できない代わりに、様々なアイデアが湧いてくる、クリエイティビティ(創造性)の面で優れているという報告もあります。
5.好きなことには没頭できる
ADHD の人は、興味のないことには集中できない反面、好きなことには「過集中」してのめり込みます。
6.頭の回転が早い
6つ目の長所は、 ADHD の人が持ち合わせている衝動性からくるスピードです。すぐに反応し、すぐに行動してくれる機動力のある人は、周りから重宝され、ありがたがられるものです。
7.強い感受性からくる共感力
最後の7つ目の長所は、強い感受性や共感力です。子供の時から他の人と異なっているせいで、苦労してきた ADHD の人は少なくありません。
そうした困難や失敗体験を繰り返したせいで、感受性が強くなり、人の言葉や感情に敏感になる ADHD の人もいます。
■ADHDの子供への対応~5つの基本の「き」~
基本1:朝から晩まで注意するのはタブー。注意を減らし、選び、目標を定めましょう
良い行動を褒め、悪い行動は無視する。いけないことをして叱るのを続けていると、その行動が強化されやすいです。
基本2:これぞと決めた目標できたらすぐ褒める
できていない時に叱るのではなく、継続している時に褒めましょう
基本3:スケジュールを決め、生活リズムよく流れるようにしましょう
毎日のリズムが決まっているほど、日々のトラブルが起こるのを避けやすいです。
基本4:ごほうび制を用いて、やる気、モチベーションを高める、維持させる
褒め言葉だけでは不十分です。ごほうびを用意しましょう。
基本5:成功体験により自尊心を育てましょう
「やったー! 僕できるんだ!」 の体験を沢山させて上げましょう。
ADHD の子育て実践対策集
◉子育てのルール「ADHD の子育てで重要なのは明確なルールづくり」
あらかじめ明確なルールを作り、決めた方針はできる限り守るようにするのが、成功の秘訣です。
◉ADHDの子育てで重要な5つのポイント
1.子供ができないことで、頻繁に叱り、次第に子供も反抗的になるという悪循環から抜け出しましょう。
2.明確なルールを決める
・やるべきことをはっきりさせておきましょう。
・初めは数を絞ってやっていきましょう。
・簡単なことから始めると成功しやすいです。
・安全のため、重大な危険につながることは、特にルールを決めてあげましょう。
3.素早いフィードバック
ちゃんとできた時はすぐ褒めて上げましょう。
4.頻繁なフィードバック
うまくいっている時、頑張っている時に声をかけて上げましょう。
5.ごほうび
モチベーションを上げるために、ごほうび制を取り入れる(言葉だけでは不十分なので)のも良いでしょう
ADHD の、実践的子育て「5つの対策」
①集中力を持続させる対策
集中できない理由を分析し、それぞれ対策を講じることで、「始められない」「続けられない」「完了しない」という問題に対処しましょう。
◉始められない
・今していることをやめられない
スケジュールを決め、やること、始めることにポイント制を使いましょう。
・自分で動けない
毎日のスケジュールを決め、初めは一緒にやりましょう。
・努力が必要なことをやりたくない
分量や時間、難易度を減らしてやらせてみましょう。
◉続けられない
・他のことに気が散る
周囲に気の散るものを置かない、シンプルなインテリアにし、勉強と遊び道具を分けましょう。
・刺激が多い
勉強中はテレビを消し、家族も静かな活動をしましょう。
・課題の量が多くて続けられない
課題を小さく分けるようにしましょう。また、量を減らすことも考えましょう。
◉完了しない
・終わったらご褒美
ポイントやご褒美、おやつを用意。やり遂げた時は、ご褒美と「よくできたね」「頑張ってるね」という言葉でしっかり褒め、達成感を感じさせましょう。
②忘れっぽさ対策
ADHD の子はもともと一連の作業を行うために必要な記憶(ワーキングメモリー)が弱い。チェックリストや持ち物リストのほか、各種リマインダーを活用しよう。
・メモの工夫
・チェックリスト
・持ち物リスト
・作業のやり方リスト
ただ、「〇〇を忘れないで!」というより、「今日は大事なものがあったよね」と子どもに思い出させる練習をさせることも大事です。
③落ち着きのなさ対策
危険につながる場面ではしっかりルールを決めておき、レストランなど落ち着きのなさを注意しなければならない場所は回避しましょう。
・いつも動いている、活発すぎる落ち着きのなさ=活発さが活かせる活動をしましょう
・危険につながる場面ではきっちりとルールを決めておきましょう
・落ち着きのなさを何度も注意しなければならない状況は回避しましょう
・夕方以降は落ち着いた活動を用意しましょう
④衝動性対策
待つことの意義を教え、3分間待つトレーニング、10分間待つトレーニングを続けます。
・ちょっと待たせるトレーニング
1.衝動的だと周りの人はどう思うか、衝動的でないと周りの人はどう思うか、教えましょう。
2.ルールを教えましょう。望ましい行動を教えましょう。
3.ちょっと考えてから行動する練習をしましょう。
4.待つ練習。
5.「早く早く」と普段から追い立てないようにしましょう。
⑤成功体験を作る
苦手なことが苦手なままで終わってしまいがちな ADHD の子に手を貸し、上手にモチベーションを上げて、成功体験を積ませて行きましょう。
・目先の活動をいとわずに取り組めば、自信が次第についてくる
頑張ってよかったと子供が感じ、それを十分に味わってから、次の目標を子供が決めるようにできるといいですね。
あなた自身と家族の課題にも取り組みましょう
◉ADHD やアスペルガー症候群の子育てには、お父さんの協力が必須です(親の役割)
ADHD やアスペルガー症候群の子供の成長にはママだけでなくパパの協力が欠かせません。パパはママのやり方にぜひ応援して上げてください。
お父さんの考え方が違っても、お母さんのやり方を応援してください。
ADHD やアスペルガー症候群に良いとされている子育ての方法は、標準的な発達の子どもたちにも役立つものです。また、厳しく叱責を繰り返し、体罰を行うことは、これらの子どもには全く効果がなく、むしろ二次障害を引き起こしやすいことで知られています。
◉ あなた自身の感情コントロール法(怒りを抑える)
ときには怒りの感情が湧き起こる時もありますが、怒りの感情は子育てを悪循環に陥らせる原因になります。もしかすると、怒りの原因は夫や親に向けられたものではありませんか?
そんなときには、普段気にならない子供の行動一つひとつ気になって必要以上に怒ってしまいます。子どもに怒りをぶつけても効果はありません。有効な子供との関わりのために、怒りのコントロールに取り組みましょう。
◉「私はダメな親」スパイラルに陥らないためにすべきこと(自責の念)
・悲観的、否定的な考えがぐるぐる渦巻くように広がっていませんか?
・ポジティブな考え方でスパイラルにブレーキをかけましょう。
◉うまくいかないと思う思考回路を切り替える(プラス思考)
・「否定的」な考えを「肯定的」に、「建設的」に、「楽観的」に。「寛大な」考えに変えましょう。
・子供の困った特徴をいい特徴と思えるよう考え方を変換しましょう。
◉あなたにも休みが必要です(リフレッシュ作戦)
・自分をケアすることを忘れていませんか?
・一人で抱え込まず、家族、知人、それに行政サービスの活用をしませんか?
「ママのリフレッシュ作戦」
1.楽しいことをする
2.パパと一緒に
3.一人の時間を持つ
4.体を動かす
5.体を休める
6.溜まった家事のサポートをしてもらう
7.一緒に子供の問題を考えてくれる人を持つ
発達障害はプラスにもなる、我が子を幸せにする5つの治療アドバイス まとめ
ネガティブなイメージがつきまといがちな ADHDも、適切なサポートとその資質を伸ばす環境があれば、長所を伸ばすことができ、「才能」へと繋げることもできます。
また、子育ても対策を理解し、実践することで短所を和らげることができるでしょう。子育てを一人で抱え込まず、適度にリフレッシュして、親子とも笑顔の絶えない関係を保ちましょう。